闇の美術史から浮かび上がる数々のドラマ

ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ予告編

 このドキュメンタリー映画は、ナチス・ドイツがヨーロッパ各地で略奪した芸術作品約60万点がどうなってしまったのかという話だけではない。ヒトラーと美術品収集にのめり込んだ国家元帥、政権に不都合な芸術一掃運動を推進した画家や、略奪に加担した画商の数奇な運命、またそれを逆手とって大儲けした贋作画家など。知られざる闇の美術史から浮かび上がる数々のドラマが驚きの、とてもスリリングな一本である。

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 画面に登場する名画は壮観で、ラファエロ、ティツィアーニ、ボス、ブリューゲル、フェルメール、ゴヤ、ルノワール、ゴッホ、ピカソなど、めくるめく速さで登場する。ヒトラーは美術・芸術に資産価値があるだけでなく、政治家の権威を高め、政治利用できることをよく知っていた。若い頃、画家志望であったことで芸術に対するこだわりはなおさら強かった。実はナチスが資金作りのため数々の作品を奪ったことは、古典的名画が戦火にまみれることなく売却され、外国に渡り、今われわれが鑑賞できるという皮肉な運命の一面もある。しかし今なお10万点は行方不明のままだという。

清藤 誠(番組プロデューサー・ディレクター/美術・映画ライター)


ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ 

4月19日 ヒューマントラスト有楽町・新宿武蔵野館ほか ロードショー

映画『ヒトラーVSピカソ 奪われた名画のゆくえ』公式サイト

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