明治から平成まで
101年生きた日本画家の本物を見よ!

 江戸絵画や仏像が人気の日本美術だが、実は近代にこそ知られざる注目の画家、美術家がたくさんいる。奥村土牛(1889-1990)もその一人だ。

83歳作 奥村土牛《醍醐》1972(昭和47)年 紙本・彩色 山種美術館 

 昭和3年39歳の時に描いた《雨趣》は当時の赤坂付近の風景を描いたもの。降る雨を細い線で描き込んでいる。かつて広重が浮世絵で用いた雨の線描写は、海を渡りゴッホを驚愕させたという逸話もあるが、土牛のこの作品は発表当時、批評家から酷評された。

39歳作
 奥村土牛《雨趣》1928(昭和3)年 絹本・彩色 山種美術館

 土牛は平成2年の101歳まで生きた。84歳のとき「私の仕事も、やっと少しわかりかけてきたと思ったら、八十路を越してしまった。芸術に完成はありえない。要はどこまで大きく未完成で終わるかである」と語った。老年に代表作の数々を生み出した、北斎が達した境地とよく似ている。

41歳作 奥村土牛《枇杷と少女》1930(昭和5)年 絹本・彩色 山種美術館   

 今は広尾にある山種美術館だが20年ほど前は日本橋兜町にあった。土牛も東京・京橋の生まれである。だが都会にはこだわらず日本各地の自然を描いた。一見素朴な印象だが、東京の激動の時代を越え、たゆまなく受け継がれてきた日本画の底から湧き上がるパワーを、この会場では感じる事ができるだろう。

 74歳作 奥村土牛《茶室》1963(昭和38)年 紙本・彩色 山種美術館

清藤 誠 (美術・映画ライター/番組プロデューサー・ディレクター)


2019年2月2日(土)~3月31日(日)

山種美術館
〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36
TEL:03-5777-8600 (ハローダイヤル)


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